- 2009-08-19 20:52:41
- 『おくりびと』を見ました
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カテゴリタグ: ナースのひとりごと
事前にレビューを読んでいたので、ストーリーは何となく想像がついていたのだけれど、見にいってよかったと思える映画でした。 納棺師という職業は初めて知りました。何となく葬儀屋さんがするのかなあと思っていました。
看護師をしていた頃、何度も死後の処置をする機会がありました。外来勤務になったとき、「外来では死後の処置はしないだろう」と思っていたのだけれど、その予想は見事に外れました。
死後の処置とは、亡くなられた方の体をきれいにして、衣服を整えたりすることです。病院によってはエンゼルケアとも言います。ただ、エンゼルケアというと、亡くなられた方の尊厳を守るための、エンゼルメイク(死に化粧)や家族の方へのケアも含めたものだという考えが私の中にはあります。実際には、そこまでできていなかったという思いがあるので、ここでは死後の処置という表現にしました。
田舎の病院なので、救急専門外来はなく救急対応は各科でしていました。内科外来は、救急対応が多い科で、心肺停止状態で搬送されそのまま亡くなる方が多くいました。そのため死後の処置をする機会も多くなります。『おくりびと』を見たかった理由の一つに、自分たちが送り出した後が気になっていた、というのがあります。
私は病院から歩いて10分位のところに住んでいました。冬の日の朝、出勤前に救急車のサイレンが聞こえると、「ああ、自分の科かなあ。違うといいなあ。」と思いながら出勤しました。病院に着き更衣室で着替えて外来に向かうと、事務の人が「内科さん、救急車きてますよ」と言います。すぐに救急処置室に向かうと医師が心マッサージをしている。こういうことは、よくありました。
朝一番の仕事が死後の処置というのは、やはり憂うつになります。それは、「死」に対していろいろ考えてしまうからです。人間はいつか死ぬのだという当たり前のことを、私たちは普段あまり意識しません。でも、やはり亡くなられた方を前にすると自分自身の「死」についても意識せざるを得なくなります。
『おくりびと』では山崎努、本木雅弘が演じる「納棺師」の冷静でありながら、亡くなられた方や遺族に対する温かさみたいなもの(よい言葉が思いつかない)が印象に残りました。
私自身、ご遺族に対して冷静さを保ちながら、冷たさを感じさせないような対応はできるんだろうか、と悩んだことがあります。病棟で亡くなられた場合は、それまでの経過の中で家族の方とのかかわりもあるのですが、救急車で運ばれてそのまま亡くなられる場合は、いきなり御遺体と対面するような感じがありました。病院に付き添ってこられた家族の方の様子を見ながら対応するのですが、家族の方とも初めてお目にかかることが多いので、悩みながら対応していました。
『おくりびと』に出てくる納棺師の所作は本当に美しいものでした。落ち着いた美しい所作は、遺族に安心感を与えるのだろうと思いました。死後の処置は遺族の方のための処置でもあるのだという思いを改めて強く持ちました。
(執筆者|元民間病院の看護師)
看護師をしていた頃、何度も死後の処置をする機会がありました。外来勤務になったとき、「外来では死後の処置はしないだろう」と思っていたのだけれど、その予想は見事に外れました。
死後の処置とは、亡くなられた方の体をきれいにして、衣服を整えたりすることです。病院によってはエンゼルケアとも言います。ただ、エンゼルケアというと、亡くなられた方の尊厳を守るための、エンゼルメイク(死に化粧)や家族の方へのケアも含めたものだという考えが私の中にはあります。実際には、そこまでできていなかったという思いがあるので、ここでは死後の処置という表現にしました。
田舎の病院なので、救急専門外来はなく救急対応は各科でしていました。内科外来は、救急対応が多い科で、心肺停止状態で搬送されそのまま亡くなる方が多くいました。そのため死後の処置をする機会も多くなります。『おくりびと』を見たかった理由の一つに、自分たちが送り出した後が気になっていた、というのがあります。
私は病院から歩いて10分位のところに住んでいました。冬の日の朝、出勤前に救急車のサイレンが聞こえると、「ああ、自分の科かなあ。違うといいなあ。」と思いながら出勤しました。病院に着き更衣室で着替えて外来に向かうと、事務の人が「内科さん、救急車きてますよ」と言います。すぐに救急処置室に向かうと医師が心マッサージをしている。こういうことは、よくありました。
朝一番の仕事が死後の処置というのは、やはり憂うつになります。それは、「死」に対していろいろ考えてしまうからです。人間はいつか死ぬのだという当たり前のことを、私たちは普段あまり意識しません。でも、やはり亡くなられた方を前にすると自分自身の「死」についても意識せざるを得なくなります。
『おくりびと』では山崎努、本木雅弘が演じる「納棺師」の冷静でありながら、亡くなられた方や遺族に対する温かさみたいなもの(よい言葉が思いつかない)が印象に残りました。
私自身、ご遺族に対して冷静さを保ちながら、冷たさを感じさせないような対応はできるんだろうか、と悩んだことがあります。病棟で亡くなられた場合は、それまでの経過の中で家族の方とのかかわりもあるのですが、救急車で運ばれてそのまま亡くなられる場合は、いきなり御遺体と対面するような感じがありました。病院に付き添ってこられた家族の方の様子を見ながら対応するのですが、家族の方とも初めてお目にかかることが多いので、悩みながら対応していました。
『おくりびと』に出てくる納棺師の所作は本当に美しいものでした。落ち着いた美しい所作は、遺族に安心感を与えるのだろうと思いました。死後の処置は遺族の方のための処置でもあるのだという思いを改めて強く持ちました。
(執筆者|元民間病院の看護師)
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